「俺より、ほかのやつを先に入れてやってよ」 新しい運命の相手との出会い

私たちがミャンマーでハーブ栽培をはじめて、今年で5年目。新しく大きな一歩を踏み出しました。
それは“リンレイ村を飛び出すこと”。そうして出会ったのは、暑くて、地平線が見渡せるアウンター村。標高が高くて涼しい、山岳地帯のリンレイ村とは真逆の世界が広がっていました。

下の写真、1枚目、山が目の前にあるのがおなじみのリンレイ村。2枚目の真っ平なのがアウンター村です。
まったく別世界でしょう…?

リンレイ村全景

アウンター村全景

この気候の違いこそがアウンター村を選んだ一つ目の理由でした。リンレイ村ではどんなに頑張っても育たないハーブを、気温が高く、水が豊富な村で育てたかったのです。

でも、もっと大きな理由は、アウンター村の人たちが素敵すぎるから
気候が似た村はまわりにもいっぱいあるけど、新しい場所でのチャレンジ、彼らと一緒なら絶対に成功する!って確信したからです。

おせっかいおばさん参上

私たちが農家さんと一緒に仕事をするとき、最初はその村の生活状況について死ぬほど聞き込みをします。
「家族は何人ですか?農業はしていますか?」からはじまって、
「お米はどれくらい食べますか?油は?野菜は?タバコ吸ってる?」と細かくなり、最終的には
「もしよければ、借金はあるか、どれくらいか教えてくれますか?」と本当に根掘り葉掘り。

テイさんと農家さん

かなりぶしつけだけれど、農家さんの生活や村の状況を正しく把握するには、必須の作業です。
農家さんの家計簿をかわりにつくっている気分。でも、この作業をすると、村の中でどんなパターンの家族が困っているのか、その原因はなんなのかがものすごくクリアにわかるようになります。

しかしこの時点で、農家さんたちにはかなり変なヤツがやってきたと思われます。なので、まずは村長さんを味方につけるのがカギでした。

「俺より、ほかのやつを先に入れてやってよ」

そんなわけで、村長さんとコミュニケーション。
私たちは、農家さんの生活を安心できるものに変えたくて事業をしていること。リンレイ村でどんな風に活動してきたかということ。誰にも負けない品質のハーブを一緒につくりたいこと。そうして、世界中の農家さんから不安を取り除き、幸せでサステイナブルな農業をするのが夢なこと。

ひたすら話す。語る。飲む。また話す。
そうしているうちに、村長さん、気づいたらしいんです。
「こいつら、夢はデカいが、大してデカい会社じゃないぞ」

そこで彼から放たれたのが、衝撃の一言でした。

「俺より生活に困っているやついるからさ。そいつらを先に入れてやってよ。」

たしかに私たちはデカくないから、村の中でも生活が厳しい順に仲間にしてきました。でも、調査に延々と付き合ってくれて、栽培が始まったら、農家さんをまとめてくれる村長さんは特例でいいよね、と考えていたんです。
それにそもそも、村のことにたくさんの時間を割いている彼の生活は決して、余裕があるとは言えなかった。

アウンター村集合写真

人としての器の大きさに感謝、感動したのと同時に、彼に遠慮させてしまった自分たちのちっぽけさが悔しい。
でも、この村は、絶対に成功する、と確信した瞬間でもありました。
相手に心を配り、誇り高いリーダーの姿は、信頼関係をベースに契約栽培をする、まさに私たちの目指すところだったから。

そんな彼が率いてきた村の人たちは、「早く栽培をはじめよう!」と私たちをせっついてきてくれすぎて、スタッフが困るほど(笑)。農家さん同士でアドバイスしあい、はじめてのハーブの栽培は早くも軌道にのりはじめています

アウンター村でのはじめての収穫は、来年2月ごろ。きっと最高の品質になるフェンネル・フェヌグリークをみなさまにお届ける日が今から楽しみで仕方ありません。

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